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石触徘徊人+g

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瑞牆山の情報など(石と言葉と微かな光)

佐久志賀の岩場のトラベルチャンス

トラベルチャンス
佐久志賀の岩場奥の院 
5.11a ボルト 12m?
1990年頃?
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2015年5月 
佐久インターを降りて昔の記憶を辿りながら岩場に向かった。
しかし記憶の検索にひっかかるものはほとんど残っていない。
行きつ戻りつしてるところに先に着いたトラベルチャンスハンターのもとえさんから電話で指示があった。
「左にヤギが見えるでしょ?」
牧場にヤギを見つけ、新しく出来たと思われる記憶にない道を進むと待ち合わせの廃校に着いた。
以前は岩場まで車で乗り入れていたのだが、現在は道が荒れたため途中の廃校の遺跡発掘事務所で車を置く許可を得たのち岩場まで歩くのだという。岩場まで30分ほど。
この岩場を最後に訪れてから20年以上になる。
いろいろ変わった。
街もパートナーも自分も。
その変わってしまった様々なものを抱え
変わらぬはずのルートという作品に向かい合うという行為に、いつになく岩場に向かう高揚感を感じた。
匂いや味、音や色で記憶の断片が思い出せるように
クライマーの記憶は指先の感覚とその空間の距離感でよみがえるものがある。
遠ざかり失った時間が一気に戻ってくる瞬間がある。
いつにない高揚感はそれを期待したからかもしれない。

うっそうとした森に入りしばらく行くと左手に岩場が見えた。
岩は乾いていた。思った以上にきれいで比較的新しいボルトも見受けられた。
岩場はまだ静かに歴史を刻んでいるようで、なんだかほっとした。
目指すトラベルチャンスはその岩場の右奥にあった。
あまり登られてないのか取り付きに小さな蜂の巣があり、抜け口にはうっすらと苔が見えた。
昔出来たばかりのこのルートに、泰平さんに連れてこられて登ったのだが
今となっては、その記憶はほとんど残っていない。
ルートは短いものの傾斜はけっこうある。100度ぐらいだろうか?
ボルトは大丈夫だろうか?

幾つか他のルートを登り体を岩場に慣らしたあと、トラベルチャンスに取り付いた。
傾斜はあるものの手がかりはいい。ボルトもまだ大丈夫そうだ。
ムーブも悪くない。
ぜんぜん悪くない。
まったく悪くない。
5.11の核心を待つうちに終了点に着いてしまった。
あれっ?
期待した記憶のフラッシュバックは?
何か間違えた?
「おいタイヘイ!終わっちまったじゃねーか!」

そのあと登ったトラベルチャンスハンターもとえさんも、戸惑った笑。
「11はないね〜」
出だし限定?そういえば出だし悪かった記憶があるけど見た所違うし、ルートのバランスも悪くなる。
その可能性もあるけどトポにも何にも記述なし
たぶん当時はまだ前傾壁に慣れてなくて、5.11aをつけてしまったんだと思う。
泰平さん11aが好きなんだよね。
もしかするとスタート部分でなにかしら岩に変化があったのかもしれない。
まあ、普通に登れば5.10b〜cだろうか?
しかも素直な。
いい岩場だし、気分いいルートだし不満は何にもないはずなのに
何故だか少し切ない気分。
どーしてくれる?

当時は前傾壁時代がすでに始まっていたというのに我々は毎週のようにこの傾斜のない岩場に通った。
静かな森の中で、指先とバランスを酷使するのが好きだったのかもしれない。
だが、単調になりつつある岩場で次のルートを求め尾根を越え新たな開拓が始まったころ
ツタウルシに強烈にかぶれ、自分のなかで突然の終を迎える。
岩場に近づけなくなってしまったのだ。
今回も実は恐る恐るだっのだがウルシは大丈夫だった。

*佐久志賀の岩場は当時から現在まで一般公開されていない岩場であり
地元の人の好意によって黙認されている岩場です。
岩場まで車で乗り入れることはできませんし、廃校の駐車場もスペースが限られます。
現在出回っているトポも25年ほど以前のものです。
岩場に行かれるかたは新しい情報を収集してからいって下さいまし。




by gecko-2005 | 2015-07-17 13:57 | トラベルチャンス