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石触徘徊人+g

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瑞牆山の情報など(石と言葉と微かな光)

御祝儀岩

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御祝儀岩 シルバー.フリーウェイ
大面岩よりさらに右上にある岩塔
1P+3P 100m 5.10b/10a/10b
1985年5月25日
ナイトウなおや、シライワたかゆき、ニノミヤやすおによりグラウンドアップにより開拓される。

基本的には人様のルートを登っても感想やら内容やらを書くことは無いのだが
このルートは岩も内容も素晴らしいのに情報量も少ないので、ちょっと書いてみることにしました。

2011/5/5 メンバーは私含め4人(内2人はマルチほぼド素人)
駐車場(大駐車場ではなくやや下の)からカンマンボロン~大面岩の下を回り込み
シャクナゲ林を抜けてやや歩いたあたりで御祝儀岩とその一つ下にある悪魔の塔が樹々の間から
垣間見えてくる。
そこから少し登れば悪魔の塔と御祝儀岩のルンゼに到着する。
ここまでは瑞牆パノラマルートと呼ばれる山頂につづく道があり
ルンゼ取り付きは道から10mほど外れたところ。
ここまで途中カンマンボロンの見学を入れて1時間15分
ルンゼは出だし倒木と残雪もあり、やや危ないのでロープを固定する。
そこを越えるとルンゼを右からかわすようにルートをとれば歩いてコルまで行けた。
ルンゼ出会いから約30分。
コルから御祝儀岩が白い大スラブを見せて立ちはだかっている。
ここから取り付きまで7m程のコケスラブを越えてさらに一段上に上がったところなのだが
特にロープを出す程のところではない。(一応出したけど)
出だし木の枝をつかんでスラブに入るとボルトが一本埋めてある。

1P 5.10b 30m弱
ボルト2本 カム小多数使用 

ちょっと立ちこんで最初のボルトにクリップすると
次のボルトまではるか彼方、その間とぎれとぎれにフレークがあるのみ。
だが、そのフレークに達するまでのスラブにもこれといってホールドが見当たらない。
どこでも登れそうではあるが、どこを登っても落ちそうでもある。
しばし岩の目を読みつつ躊躇するが、意を決してボルトやや右から入る。
ビレイヤーのほぼ真上、落ちるとゴメンナサイ状態である。
久々の安全圏から遠ざかる感覚。
クライマーであることをいきなり試されるような離陸感。
そしてたどり着いたフレークは、これまた心細い感触と乾いた音がした。
その後も何度もラインをじっくり確実に読み切ることと
プロテクションを確実に決めることを要求された。
絶妙な岩の傾斜がそれを可能にしている。
途中浮いた岩をはがしながら慎重にムーブをこなし
灌木の上のビレイポイントにたどり着くとほっとした。
たかだか5.10のスラブだったというのに、心に響く緊張感。
岩の脆さも含め素晴らしいピッチだった。
特に2本目のボルトの位置には驚いた!
初登者の気持ちと覚悟がルアルに伝わってきた。
私の感じたグレードは5.10c/R
落ちてみないと分からないがRXがギリギリ付かないレベルかもしれない。

2P 5.10a 25m
ボルト3本? カム中~小2個

少し上に見えるボルト目指して右から越えると
やはり次のボルトははるか彼方となった。
まさか、あそこまでプロテクション無しというわけではなかろうと
プロテクションがとれそうな左に移ると、やはり頼りなげな割れ目が少しあった。
しかし地面から遠いということもあり気分は1P目より楽だ。
ビレイポイント手前の読みづらいラインでホールドの粒子がくずれバランスをくずすが
なんとか冷静にムーブを組み立て直すことが出来た。
私の感じたグレードは5.10b/R 


3P 5.10b 20m
オフウィドウス キャメロット4番2個と2番1個

3ピッチ目は一目瞭然
ちょっと脆くて濡れたスラブをトラバースしてクラックに入り込むと
あとはひたすら頑張るのみ。
ハンドジャムが効くところもあったが基本的にはオフウィドウス登りとなる。
途中反転して背中を下に休み休み登る(あんまり休めないけど)
最後やや傾斜が増し動きづらくなる。
レイバックで一気に行きたいのをこらえ確実に登った。
終了点にはRCCボルトが2本埋めてあり古いスリングが残っていた。
感じたグレードは5.10b

そこからすこし歩いて登ったところが御祝儀岩のてっぺんで、
さらにその上にピナクルがある。
次時間があればその上にも登りたい。
4人でのんびり取り付いたため時間も遅くなってしまったが
やや陽が陰り始めたあたりの絶景は
心に染み込むような感激があり、初登者の何かを信じて登った気持ちが伝わってきた。
未知の壁を登ること、そしてそれが裏切られなかった幸せまでが伝わってきた。


下りは同ルートをラッペル
さらにコルから安全を期して2回ラッペルした。


初登は1985年5月にグラウンドアップで行なわれ。掃除の必要もなかったと聞く。
100mもの壁が掃除を含め本当のグラウンドアップで登られるのは、ここ瑞牆でもまれな事だ。
瑞牆の岩場は数こそ無数にあれど、だいたいにおいてライン上にイワタケやコケが避けられず
脆いところも必ずと言っていいほどある。
つまりよほど条件が良いか、簡単なところでないと、いきなりグラウンドアップで登ることは
逆に不自然なこととなるのだ。
御祝儀岩のような最初からきれいで脆さもギリギリ大丈夫?な岩はめずらしいと言えるだろう。

1985年といえば各地で5.12のルートが登られ始めた頃
(タコ、ロリータJUNKO、スパイダーマン、スーパーイムジン、春うらら2Pめなど)
ボリエールから高フリクションシューズ、フィーレが発売され
日本のフリークライミング創世記で一気に飛躍が始まった年だ。
言うなればほとんどのクライマーが求め気になっていた事はグレード。
誰が5.12のルートを登り5.13への道を拓くのかだった。
そんな中発表された御祝儀岩はアプローチもよくわからないスラブのルートであり
そんな、たかだか5.10のルートなどクライマー達は気にも止めなかったのだろう。
その後も誰かが登ったという噂さえ聞かなかった。
しかし当時岩と雪105号に発表された折、掲載された小さな写真は日本離れした雰囲気を
かすかに感じさせるものがあり、ずっと気になっていたクライマーも少なからずいたようだ。(たぶん)
私もアプローチ悪そうだし、わざわざ行くのも面倒くさいな~という印象だった。
しかし昨年パノラマコース沿いの岩を偵察した際受けた印象は
「意外と近い。それに素晴らしくきれい!」
で、今期悪魔の塔などと一緒に再調査してアプローチを確認し新たな可能性を感じ、
まず既成ルートでも登ってみるか~と思った次第。
全ピッチ私がリードして、まあ当然(なんとか?)オンサイトしたわけだけど
最終ピッチは他の3人は時間の関係でゴボウで上がってきてもらった。
是非血を流しながらオフウィドウスを味わってもらいたかったのだが申し訳ないことをした。
それでも何かを感じてくれたことと思う。(もうこの人とは行かないっ!とかね)

そして登り終わって思ったことは
一番悪い1ピッチ目をリードしたナイトウ氏を始め初登の方々に対して
よくぞあの当時あの装備でグラウンドアップというスタイルで登った!
という思いだった。
知らず知らずのうちにメンバーの顔ぶれから内容を判断していた己の不明を恥じた。
クライマーは言葉ではなく登ったルートで語るもの
そういうものが彼らにもあったと言うこと。
「甘く見てゴメンナサイ。大変素晴らしいルートでした」
このルートが彼らの原点であればいいなと思ったし、勝手にそう信じている。
そう思うと仁義無き開拓軍団的イメージを持っていたけど、見直さなくちゃ。
だから、彼らもいろいろ考えた末いまの開拓スタイルにたどり着いたのだろう。
でも26年か~こんなにいいものがあったなら、もうちょっと伝えとかないとね。

紆余曲折、理解は難しく、理論は易きに容易く武装され
言葉の説明は誤解とご都合主義の正当化を重ねる。

それがたった一本のルートで全てが解けるなんて!

私もちゃんと登っとこ。


尚シルバーフリーウェイの左にもう一本ルートがあるとのこと。
たしかに離れたところにボルトは確認出来たがラインまでは確認出来なかった。
残置ボルトはリングとRCC。かなりの年月もたっているのでボルトの位置はそのままに
打ち変えようと言う話しもある。

アプローチ詳細はまた書き加えたいと考えてます。
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by gecko-2005 | 2011-05-12 18:55 | 瑞牆のルート情報