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石触徘徊人+g

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瑞牆山の情報など(石と言葉と微かな光)

登り語り その1 登攀道

登攀道 2P 5.8/5.8 N.P
2006/10 チョーサイコールーフの岩塔
開拓者 石触人、泰王、+1
 
前から気になっていた岩塔があった。
それは駐車場からすぐ側にあり
大きなルーフとクラックらしきものが見える。
あまりにも近過ぎる。
そして目立ち過ぎる。
その事が逆に足を遠ざけていたのかもしれない。
『すでに』
そう思わずにはいられなかった。
「誰かが手を付けているに違い」

その岩塔というのは春に他の岩塔群を回ったついでに訪れ
ぐるりと回って注意深く観察をした結果
誰かが手を付けた痕跡が見当たらなかったところだ。
「まさか」とは思ったが、手付かずのようだった。

登られた痕跡は様々である。
まずハンガーやスリングなどの残置物があればもちろんだが
ロープを引き抜いた時に樹に出来る摩擦痕があれば
偵察、試登済みの可能性はある。
つぎに掃除された後があるかどうかである。
掃除の痕跡は
枝が払われているかどうか。
大きな浮き石がクライミングの妨げになるような状態で
幾つも残っていればまず誰も触っていない。
イワタケは生育条件さえよければ
5~6年で掃除されていないと勘違いする程度には生えて来る。
コケはもっと早い。
しかし注意深く見るとあきらかに掃除されたところと、
そうでないところの差があるので気付くだろう。
しかし私のようにわざとグラデーションを付けて
掃除する人もいるので要注意である。
某ベテランボルダラーでさえ、
あきらかに掃除されている岩を登って
初登を疑わなかったぐらいだから判断は意外と難しい。
自分の都合のいいように考えがちだ。

 
岩塔の上からラッペルしてみると50mロープ折り返しで丁度。
手頃なスケールではある。
しかし壁の左の方はブッシュに、真ん中はイワタケ
右の方に回るとコケに覆われている。
これが手付かずの理由だろうか?
それでもアプローチが近いのは何より魅力的だ。
岩塔の上からの眺めも中々素晴らしかった。
開拓岩場としての査定はやってみる価値100%
初秋、泰王と+1に声をかけ、その岩塔に出かけた。

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壁は、まだ緑の木々に覆われてラインを定める事が出来ない。
攻略法など何もなし
出たとこ勝負。
その辺のやり方は昔から変わらない。
そういった感覚的進行計画といったやり方で、
登る事に失敗しても、面白さを求める事に失敗した記憶は無い。

しかし、泰王は早くも訝し気(いぶかしげ)な表情を浮かべている。
まずい。
ここはダメだしをされる前に突撃だろう。
感を頼りにブッシュの中に突っ込んだ。
コケを払いながら木々の間を抜けると
そこは、私にとって開拓第二章とも言うべき
逡巡の造形の始まりだった。

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ブッシュを抜け、コケコケの小チムニーを越え
イワタケを蹴散らしてランペを伝った。
その、登っていたのか抗っていたのか分からない
懐疑的クライミングの中で、泰王はこう言った。
「俺たちはこんな事をして楽しいのか?」
?マークはもっと付けていいのかもしれなかった。
でも、確信はあった。

楽しい! はずだ

そして、コケの中のスタンスを拾ってルーフ下をトラバースすると
その岩塔の最初の道が、登られるべきものとして繋がった。

それは、まだ緑が残る夏の温もりの所為だったのかもしれないし
静かに山上から降りて来ようとしてる、
明るく色づき始めた秋の気配を感じたからかもしれない。
変わりゆく季節の中で
それは、とても楽しい一日に思えた。

後で登れば、たかだか2ピッチの5.8
核心は未知のクレードを、それとして感じる事であった。
5.8を5.8として感じられるクライミング
そこには難度にかかわらず納得した充実感がある。

翌週を待たず泰王から言葉がかかる。

「あの壁を徹底的に掃除しよう!」

また季節が巡って来たのを感じた。


(このペースで30回?無理無理~)

解説
1P目
『込め手』やや下側の行けそうなブッシュ帯からほぼ直上して
小チムニーを抜け右上クラックを回り込む。
クラックに入ってから出来るだけ早くプロテクションを
取るために大きめカムがほしいところ。
回り込んだら少しクライムダウンして小テラスでピッチを切る。
カム中~大、スリング
2P目
ルーフ下、水平クラックをたどりそのまま壁を回り込んで終了。
灌木でビレイ
カム小~大

by gecko-2005 | 2009-02-09 22:00 | 瑞牆のルート情報